あふれるほどの愛を君に


 朝起きて出社してパソコンを立ち上げ、引き出しから資料を取り出す。

同僚達と挨拶を交わしながら一日のスケジュールをチェックし、ミーティングの準備に取りかかる。

そんな日常に埋もれてしまえば、ささくれ立った心なんてどうにかなると目を瞑る。頭を抱えることなんてない。

こうやってデスクからぼんやりと眺めれば、愛しい横顔に見とれることだってできる。

キビキビと働く姿を格好いいと尊敬し、時折見せる子供っぽい笑顔も世界一だって思える。

愛しくて癒されると、心に安らぎを張り巡らす。


付き合う前からずっと憧れていた。

ただの憧れがもっと色濃いものになり。その存在そのものが、かけがえのないものへと変わった。

僕の一番……僕だけの、これから先も──

だから誰にも渡したくないし、渡すはずがない。

そうやって言い聞かせる。
ささくれを撫でつける。

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