あふれるほどの愛を君に
*・*


 日曜は快晴だった。

星野が待ち合わせに指定したのは、僕らが高校時代によく利用していた店。

雰囲気はカフェのようだけど、メニューの豊富さや値段が手頃なとこはファミレスみたいで、あの頃のお気に入りだった。


「阿久津君!」


日当たりのいい窓際の席に彼女は座っていた。


「待った?」

「ううん、わたしも来たばかりだよ。ここ、懐かしいでしょ?」


頬杖をついた星野が楽しそうに笑う。


「うん、卒業以来初めて来たよ。ここも変わってないな」

「よく試験勉強もみんなでしたよね、あそこに座って」


クリクリとした瞳を動かして店の奥側に視線を送る。それにつられて僕もその場所を眺めた。

店内で一番広いソファ席のそのコーナーは、今日は空席だ。


「でも俺ら、いつも怒られてばかりだったよな星野に」

「だって、みんなが真面目にやんないから。ふざけてすぐ脱線しちゃうんだもん」


そう言って唇をとがらす仕草も、あの頃のままだ。

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