穢れた愛


後部座席から
運転席を抱え込む明美


「何 企んでのよ」


横瀬は悪戯な笑みを零し
煙草を咥え


「別に」


背後から差し出す
明美のライターの火を貰い
視線を夕夏に戻す


「独りだけ楽しむなんて
 ずるくない?」


明美の嫌味な笑声など
耳を貸さない横瀬は
青柳が示す反応を
快楽的に眺めていた


青柳と夕夏の距離が
縮まるにつれ
高鳴る興奮


だが 横瀬の期待は
見事に的を逸れ


夕夏と接触した
青柳の顔は
無表情のまま


振り返る夕夏が
横瀬の愛車を指差す仕草に
虚ろな青柳の視線だけが
横瀬に返ってきた


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