無題


コンビニが目の前。

『あれ??電気ついてない。なんで…』


コンビニの入り口には、白い紙。

赤字で『○月○日をもって閉店』
とかいてありました。

最悪。
もう家に帰らないと…。


下に落ちていた石ころをけりました。

『ねぇ?ウチくる?』

コン…

私の中でなにかがかわった。

私がけった石ころは、電灯に当たりました。


『でも、有川の親がイヤがるんじゃない?』

『あっ!大丈夫。あのクソアマいないし…。てか、俺だいぶ前からアパートで一人暮らししてるんだぁ。だから、家にだれもいないよぉ』

有川にとってのクソアマは、お母さんにあたるのだと思います。

『いく!有川ん家。』

『わかった。』

有川は、私の右手をにぎってくれました。
ただ、にぎってくれただけなのに安心がもてました。

有川の手…。大きくてあたたかい。
有川は、この手でお母さんを殺したのか。
そんな感じにはみえなかった。


有川の家は、私の家の逆方向でとても遠かった。


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