無題


また学校は、ざわめく。


『みんなぁ、あまり気にするな!先生は、みんなを守る!まっ…そーゆーことだ。……委員長!』

『はい。きりーつっ。れい…』

『さようなら。』


今日の授業は、時間短縮され午前で終わった。

家に帰って有川のことを調べました。

昨日午後8時28分。自宅玄関前に有川の父親の死体があった。
死亡推定時刻は、午後6時ごろ。ちょうど有川が学校から家に帰ってくる時間。有川は、帰ってすぐに父親を殺したことになる。

私の母は、また有川が心配のようだ。

テレビにくいつき、目の前においてあるおかずに一切手をつけません。

『そんなに気になる?』

『そりゃね…』

『じゃ…探してきてやるよ…』


パジャマ姿だった私は、ジャージにきがえて、有川を探しにいきました。

有川がいくところ。
それはただ1つ。
隣の市にある、人気が全くない公園。

私は、バスにのって駅に向かいました。
バスには、5、6人しかのっていませんでした。

夜の9時前からでかける人なんてすくないですよね。

駅の改札口。そこにギターをもった幸也がいました。ギターレッスンの帰りです。



『お前、こんな時間にどこ行くんだ?』

『ちょっと買い物に…』

『バカ!こんな時間、どこの店も閉まってるよ。ほら、帰るぞ。』


幸也は、私の右肩に手をそえてきた。

乗ってきたバスにまた乗り、家に帰ってきた。


『音乃ちゃん、またどっか行ってたの?あらっ…幸也くんじゃない。『いつもお世話になっております。』
『お母さん、心配で…心配で…仕方なかったんだから。』


また形だけの言葉。
心配だったら、探し…


『あの…心配ならご自分でお探しになったらいかがでしょうか?』

私が思ってたことを幸也がいってくれた…。
私は、やっぱり幸也が好きだ。

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