無題

午前11時14分。ちょうど3時間目ですね。

家の前には、黒い車が一台とまっていました。

家の中に入ると一足の大きな靴。
リビングから話し声も聞こえた。

もしかして…お父さん??

私は、リビングまでの短い廊下を音をたてずに走った。

ドアについているガラスから、お母さんとお父さんが楽しそうに会話している一枚の絵が見えた。

『お父さん!!』

私の声に驚いて、お父さんはソファーから落ちた。


がっ…こ…う…は…?

声を出さずお母さんは、私にそう言ってきた。

お母さんが私を捜さずにお父さんとニコニコ笑っているのに腹がたった。


『なんで学校いってないんだ?』

『しんどかったみたいで早退してきたのですよ。』

私が答える前にお母さんが答えた。

『違う…私はしんどくなんかない。お前は、間違ってる…。お前なんて…お前なんて…』


お父さんが私の体を持ち上げた。

『そうとう疲れているんだね…。でも、お母さんにそんな口のききかたしちゃいけないよ。ほら、部屋でゆっくり休みなさい。』

お父さんは、私を部屋に誘導した。

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