無題
お母さんは言い返してこなかった。
私は、お母さんにいわれた通りお風呂にはいった。
お母さんのいうことをきいたわけじゃない。
このイライラをしずめるためにお風呂に入っただけだ。
へんな勘違いするなよ。
お風呂に上がっても全てのイライラがなくならない。
どうして…。
かわいてない髪の毛をまた水でぬらした。
凍るぐらい。
『お父さん…』
お父さんの部屋は、雨戸がしまっていて全く汚れていなかった。
仕事が忙しくなってなかなか家に帰って来なくなった日からそのままの状態。
『どうしたんだ?』
お父さんは、ビデオテープを整理していた。
『どうして家に帰ってこないの…??』
『仕事がな…』
『仕事なんかの方が大切なんだね…。』
『いやっ…そういう訳じゃない。でも…もう帰ることはないだろう…。』
『どういうこと…?』
『いつか…そのうちわかるよ…。』
そういってお父さんは、ビデオテープ1本持って家からでていった。
その頃お母さんは、ソファーで眠っていた。