無題


『おはよー』

機嫌がよさそうな有川が部屋に入ってきて、私を抱きしめた。


昨日の有川じゃない。あんなにキレていたのに、朝になるとこうだ。


『俺、今日から学校行くから、朝ごはんつくって。』

有川が私の服の裾をつかんで私を部屋からだした。


『はーやくっ♪』


仕方なく冷蔵庫をあけると、麦茶とオレンジジュースと牛乳しかありません。

他に食べ物がないかと台所の至るところを探しました。

『ねぇ?まだぁ?』

待ちくたびれた有川は、あきれた顔で私をみています。

まるで、レストランの食事をまっている小さい子のように。


『ちょっとまってね。』


小さい子を相手しているような言い方で話す私。


コンロの真下にある戸棚の奥に食べ掛けのコーンフレークがありました。

賞味期限もまだ先なので、深みがあるボールの半分ぐらいまで、コーンフレークをいれて、その上から牛乳を注ぎました。

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