星になる
その日の放課後、ホームルームが終わり真紀はいつものように一番に教室を出ようとした。
だが、佑が真紀の名前を呼んだ為、真紀は教室から出られなかった。
「真紀、公園行くぞ!」
真紀の手を強引に引き、歩く佑。上履きのまま、2人は外に出た。公園に着くと、佑が言った。
「何で、帰ろうとしたんだよ」
佑は少し怒っていた。
「…忘れてた…ごめん…」
「嘘だろ。行く気何て更々なかったんだろ」
「…」
「…ま、いーけど」
「…ごめん…ね…」
真紀の口から自然に出た言葉。
「ん?気にすんなよ。何となくだけど分かってたから」
佑はいつの間にか笑っていた。
佑が笑うと真紀まで笑っていた。
「初めて見たな」
「え?」
「…真紀の笑った顔」
「…私、笑ったの久しぶりかも」
「真紀さ、笑ったほうが可愛いよ」
…佑だけだった。
今まで言われたことなかった。
…嬉しかった。
佑の前ではありのままの自分でいられると真紀は思った。
その日は、メアドを交換してバイバイした。
真紀のアドレス帳に男の名前が入ったのは、佑が初めてだった。
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