前髪少女の秘密?!
基本的に両親とも帰りが遅い。
だからお兄ちゃんも私もよく友達の家に泊る事が多かった。
で、今日も。
「優紀ー、明日俺休みだろ?仕事も」
「うん」
「だから涼んち泊るからー」
「はーい」
部屋のドアをはさんで会話。
入れてあげてもいいけど、多分すぐ家を出るだろうから。
お兄ちゃんも私も。
お兄ちゃんが家を出て行ったのを確認してから、私はクローゼットの奥から橙色のジャージを取り出した。
それにささっと着替える。
で、下に降りて洗面所へ。
手に取るのはお兄ちゃんのワックス。
お兄ちゃんは普段は使わないけど、仕事のときだけ使う。
それを頭にべったり。
特に前髪にたっぷりつけて……
……後ろへ撫でつける。
それで変身完了。
いや…変心…かな?
―――“俺”になるには。