前髪少女の秘密?!
「6人で1人囲って……カツアゲ?だっせぇのなー」
よく通るちょっと高めの男の声。
声がしたほうを不良と俺が一斉に見ると、
……染めては無いだろう綺麗な茶髪を一つ結びにした、顔のすごく整った女みたいなやつがいた。
そいつはニヤリと笑うとこっちへゆっくりと踏み出して。
近くにいた1人を一発殴って、……気絶させた。
腹を押さえて崩れ去る不良。
それを見て不良たちが驚いている間に、1人、また1人と気絶させていく。
最後に、俺の胸倉をつかんでいたやつを殴ると、またニヤっと笑った。
「いい度胸してんな、兄ちゃん。カツアゲは一度味をしめるとヤメらんねぇ馬鹿が多いんだ。それに、基本大人数でするから対象も反抗できない。まっ、兄ちゃんはボコされるつもりだったんだろ?」
何もかも見透かしたような眼に心が吸い寄せられた。
「…あんた、名前は?」
気付くと聞いていた。
俺はこの人についていきたい。
そう思わせるこの人の眼に口が勝手に動いたんだ。
「…ははっ。夕方の鬼…夕鬼だよ」
その人…夕鬼は俺に背を向き歩きながらそう名乗った。
そして、いつまでも固まってる俺を振り向き、
「こねぇのか?」
そう聞いたんだ。
――この人はなにもかもを見透かしてる。
すでに尊敬と崇拝の意が生まれていた俺は、迷うことなく夕鬼の後ろを歩いた。