前髪少女の秘密?!




それから数日。

俺は高校へ入学した。


…夕鬼に連れられて行った倉庫で、なんとか仲間にしてもらった俺は、上機嫌での入学。

中学から一緒だった友達には気味悪がられたほど。



高校なんてどうでもいい。

そう思ってた俺は入学式で目を奪われた。


夕鬼の眼に吸い込まれたのとは違う。

雰囲気が俺を惹きつけた。


新入生代表―――高野 優紀。


鼻も隠れるぐらいまで伸ばした前髪。

男の先生と並ぶほどの高い背。


…緊張して真っ赤になった顔とぎこちない動き。


一瞬で、(かわいい…)と思ったんだ。

全てに、一気に惹きつけられた。


キザなやつなら『運命』と言うかもしれないが、運命だとは思わない。

逆にこれは『偶然』なんだ。


たまたま。


たまたま俺が惹きつけられただけ。

なのに、友達に慰められながら教室に入ってきた彼女を見て。


“絶対手に入れたい”と思ってしまった。

遊びとか、そういう気持じゃなく。

なんとなく惹きつけられたからじゃなく。


『偶然』、本気でそう思ってしまったんだ。









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