冷たい彼

「それで、皇雅くんは救急車で運ばれたの。私も、別の救急車で運ばれて…。それっきり」

「え、それっきりって?」

「別の病院に運ばれたの、私はかかりつけの病院があったから。やっと外出許可がおり手皇雅くんに謝りに行こうと思ったら……いなかったの、皇雅くんが」

「たぶん、その時に親父の転勤で引っ越したんだろうな」

「私、それを知らなくて…、皇雅くんが記憶をなくしてるって事も知らなかったの。だからっ…てっきり怒ってどこかに行っちゃったんだって…ずっと、思ってた」

愛姫さんは涙をこぼしながら話す。

きっとそこには愛姫さんにしかわからない苦しみとか、悲しみがあるんだと思う。

「皇雅くん、ゴメンねっ。そしてありがとうっ…!私、あのとき皇雅くんに助けてもらわなかったら、きっと今この世にいなかったと思うの」

「俺からも、礼を言わせてくれ。愛姫を、助けてくれたありがとう」




< 336 / 337 >

この作品をシェア

pagetop