鬼と天使と少年と、
「ごめんなさい。俺、二人を傷つけられて気が気じゃなくて………。その、だけど……」


「何を言ってるのかしら?謝罪なんて、いらないわよ」



冷たく言い放ったような茄希先輩の声が俺の中で響く。


かと思えば、俺の目の前には優しい微笑みを浮かべた茄希先輩がいて……、



「気にしてないわ。元より、私たちが悪かったんだもの。謝るのはコッチの方よ」


「そうだよ!私たち……っていうか、珀が悪いんだからねっ、本来の姿見せつけてやるー!みたいなこと言うから!」


「え、ちょ、俺の責任んんんッ?!いや確かに俺も悪いけど俺だけ?!お前らもノってた……」


「何のことだか。珀、今日から1週間、飛び級生のパシリになれ」


「羅架までひでぇぇえええッ!!俺の扱い雑じゃねェッ?!」


「「「うるさい」」」


「う、うる……っ?!」



いつの間にか珀先輩がイジられていて、不謹慎ながらも笑ってしまった俺。

そんな俺の様子を見た茄希先輩は、もう一度俺の方を向くと口を開いた。



「そうやって笑っていた方がいいわよ。ウジウジしてると、いいことなんて無いんだから、ね?」


「茄希先輩……」


「きゃーっ、もう茄希ちゃんカッコいいーッ!!女の私でも惚れちゃいそうー!」


「男の俺の立場ねぇじゃんかーw」


「相変わらず人の扱いが上手いな、お前という女は」


「あら、【扱い】なんて失礼ね。コミュニケーションと言っていただける?」



そう言って羅架先輩の方へと顔を向ける茄希先輩の横顔から、俺は目が離せなかった。

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