家庭*恋*師
「密室ってなによー、カズったらなんの話してんの?男と女が同じ部屋にいるだけでなんかあるって?あれ、それは自分がそうだから?やだー、やらしー、これだからむっつりはー」
「なっ…!」

容赦のない弾丸トークで、彼に反論のスキも与えない。

おまけに面白おかしく言ったトーンはカズを赤面させ、すっかり秀のツボにはまり、遠山には同情さえ湧き起こさせた。

「そうか…カズもお年ごろだもんな、そういうのが気になるよな」
「むっつりは大変ですね…」
「てめぇら!」

男3人、すっかりと南のペースになったところで、まるで試合終了のゴングのごとく、予鈴が鳴った。

「それじゃ、初日から遅刻するわけにはいかないんでお先にー」
「おいこら南!話は終わって…」
「遠山さん、あとで宅配便の人が来ると思うから、その特別寮とやらに案内しといてねー」

有無も言わせぬまま理事長室をあとにし扉を閉めてしまえば、その向こうの抗議の声も気にならない。

南はすっかり上機嫌で、自分のクラスへと向かう足取りは軽く、スキップでもしかねない様子。それは、周りの好奇の目を誘ったが、今の彼女にはどうでも良いことだった。
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