家庭*恋*師
結果発表は、テストの次の日の朝に掲示された。

全校生徒がライバル、という張りつめた空気の中、いつも通り一緒に登校する南と皓太朗が、まるで受験の合格発表のように大袈裟に張り出された掲示板の前に立つ。

上位のものだけ貼り出す学校とは違い、ここでは全校生徒の名前と順位が発表される。常に上を目指し、自分の位置を把握するように、というのが狙いのようだ。

そして南と皓太朗の場合、課された条件の発表にはもって来いなのだ。

「お、また一緒にご登校?仲良いねー」
「…お前らがそのネタに飽きるのが待ち遠しいわ」

クラスの知り合いの言葉に、頭を抱える皓太朗。ふと隣を見ると、南は相変わらず知らん顔。周りが彼女を見てざわついているのにも関わらず、ただ掲示板を睨みつけていた。

「ほら、佐久良さんよ」
「さすが特別枠の受験に合格しただけあるよな」

どうやら、今回の騒ぎは自分との浮ついた噂だけではないようだ。そんな声に釣られ、皓太朗も目を上げる。

そしてそこには、学年首位をほぼ満点で成し遂げた南の名前があった。

「お、すげーな南ちゃん。学年一位」
「このテストの範囲が受験のとかぶったんだから当たり前」

そう素っ気なく言ってはいるも、不自然なほどに眉をひそめている表情を見れば、実は少し誇らしく思っていることが伺えた。素直に喜べばいいのに。そう思うも、彼女に言えば怒られる気がして口には出さなかった。
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