ラブランディング
「じゃあ…なんで?」
「なんでって?」
「だから…その…そこまで知ってるなら…」
ごにょごにょ、と言葉を濁す。別の人が居る、って言うのと、「なんで口説いてくるの」って聞くのだと言い難さのレベルが違う。私には、それを自然に言うほどのスキルを持ち合わせてないし。
「なんで、口説いてるかってですか?」
…そんな私の思考をあっさりと切り捨てる沖くんは、大物だ。
「いけないですか?」
「いけないでしょ、普通は」
「キーパーが居るからって、シュートするなっていう方が無理な話ですよ」
「私、サッカーあんまりわかんないんだけど…っていうかスポーツに例える?」
「同じようなものでしょ。勝負なんですから」
自販機の角を曲がると、飲み物なんかをくつろいで飲めるスペースがある。沖くんは急にしんどそうにため息をついて、私の前を歩きベンチに腰掛けた。そして、自分の隣をぽんぽん、と叩く。
ため息つきたいのは、こっちの方だ。でも彼は、ただにっこりと笑うだけ。それは、有無を言わせる気など毛頭にもない高圧的な態度。
私は観念してベンチに腰掛けた。といっても、彼の催促した場所よりも離れた場所。沖くんは不満そうに眉をひそめてみせるけど、口が笑ってる。私の困ったところをみるのがえらく面白いようだ。
本と、生意気な奴。
「恋愛は勝負とは違うでしょ?お互いの気持ちとか、思いやりとか…」
「そういうのは、勝負が終わった後に培うものですよ。欲しいものを取り合うのは、勝負の基本だと思いますけど」
欲しいもの。その音節の一つ一つに何かを込めて、そんな目で真っ直ぐ見られたら…意図に反して赤面してしまい、自分の身体に裏切られた気分だ。
「なんでって?」
「だから…その…そこまで知ってるなら…」
ごにょごにょ、と言葉を濁す。別の人が居る、って言うのと、「なんで口説いてくるの」って聞くのだと言い難さのレベルが違う。私には、それを自然に言うほどのスキルを持ち合わせてないし。
「なんで、口説いてるかってですか?」
…そんな私の思考をあっさりと切り捨てる沖くんは、大物だ。
「いけないですか?」
「いけないでしょ、普通は」
「キーパーが居るからって、シュートするなっていう方が無理な話ですよ」
「私、サッカーあんまりわかんないんだけど…っていうかスポーツに例える?」
「同じようなものでしょ。勝負なんですから」
自販機の角を曲がると、飲み物なんかをくつろいで飲めるスペースがある。沖くんは急にしんどそうにため息をついて、私の前を歩きベンチに腰掛けた。そして、自分の隣をぽんぽん、と叩く。
ため息つきたいのは、こっちの方だ。でも彼は、ただにっこりと笑うだけ。それは、有無を言わせる気など毛頭にもない高圧的な態度。
私は観念してベンチに腰掛けた。といっても、彼の催促した場所よりも離れた場所。沖くんは不満そうに眉をひそめてみせるけど、口が笑ってる。私の困ったところをみるのがえらく面白いようだ。
本と、生意気な奴。
「恋愛は勝負とは違うでしょ?お互いの気持ちとか、思いやりとか…」
「そういうのは、勝負が終わった後に培うものですよ。欲しいものを取り合うのは、勝負の基本だと思いますけど」
欲しいもの。その音節の一つ一つに何かを込めて、そんな目で真っ直ぐ見られたら…意図に反して赤面してしまい、自分の身体に裏切られた気分だ。