ラブランディング
ユウは、結構モテる。

最近では社内の人にアプローチされることはなくなったけど、今でも契約先の会社でとかで告白されたりすることがちょくちょくある。そしてその度、まるでその日食べたお昼ご飯のメニューを伝えるみたく、私に報告していた。

それだけ彼にとってはなんでもない出来事で、それはわかるのだけど…わざわざ言わなくてもいいのに、とか、ちょっと無神経かな、とずっと思ってた。

でも、ユウの気持ちが今は少しわかった気がした。

もしちゃんと相手に言わなかったら、なんだか隠してるみたいで、嫌な気分だ。まるで後ろめたさがあるって自分に認めてしまうようで。

だから、ちゃんと言わないと、って思った。

「なんか…オリエンテーションで会ってからって…」

…だからといって、決して言いやすいことではないのだけど…

ごにょごにょ、と、自分で聞いてても情けないほどに気まずさ丸出しの口ぶり。そんな私を見て、ユウは最初きょとん、としてたけど、すぐにそれはニヤニヤとしたものになる。

ああ、考えてることが手に取ってわかる。これは、面白がってる顔だ。イジり甲斐のあるネタを見つけた時の顔。

「ほー、やるねぇー。なになに、受付にいた綺麗なお姉さんに一目惚れってやつ?」
「…やめてよ…冗談抜きで本と困ってんだから…ユウとのこと知ってても、別にいいとかって…」
「そりゃ本気だ。さすが俺の彼女だねー」

まったく悪びれてない言いぶりの彼の胸を、少し強めに叩いてやる。それでも、ユウは楽しそうに笑ってる。反省するどころか、調子にのって私に詰め寄った。

「そりゃ、こんな美人が先輩だったら口説きたくもなるよなー」

そう言いながら、首筋に口を寄せる。吐息が耳たぶを撫でて、身体全体で反応してしまう。

「…今の話でその気になるもん?」
「んー、俺はいつでもその気ですけどー?」
「それは知ってる…」

スイッチが入ってしまったユウを止めることなんて出来ないのは、もう知ってる。それに、私もお酒が入ってる所為か、すぐに息が荒くなった。
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