ツラの皮
「ひっ!?……え?あ!高遠っ。」
「鈴の分際で俺を無視すんじゃねーや。」
「う、…アレは、まさかこんなところで会うなんて思わなくて驚いたというか……ってか、アンタ穂積クンが仕事だっての知ってたんでしょ!」
「いいだろ別に。なんだかんだ言ったって、こうして温泉を堪能してるわけだし。それに……最近お互い仕事続きで会えなかっただろ。」
会いたかったから言わなかったんだ、
という言葉は果たしてこの激ニブに通じんのか、否か。
温泉効果かほんのりと上気した顔で俺を上目遣いに見詰めた鈴は、フンッと勢いよく顔を背けた。
ついでに肩にあった俺の腕までベシッと手荒く叩き落として、足を速める。
「……何だその反応……。」
口に出すつもりはなかったが、思わず零れた。
って、コイツの影響をとみに受けてんな、俺。