ツラの皮
支えるように自然に腰に回した腕は振り払われなかった。
暫くお互い何も言わず、ただ星空を見上げていた。
俗世間は遥かに遠退いて、小さな虫の音もやがて意識から消えた。
こうしているとまるで広大な宇宙に二人っきりで放り出されたみたいだな。
そんなことを思ったら、堪らなくなった。
何も誰も要らない。
傲慢さをひっくるめて俺の全てを見てくれて、
何もかもを包み隠さず晒してくれるコイツが居てくれたらそれでいい。
オマエにとっての俺がそうであるなら、俺だけにしとけよ。
軽く腰を引き寄せ、未だ星に魅入っている鈴の唇を塞いだ。