ツラの皮

怒りで目の前がグラリと揺れた。








何でオマエがソレをコイツに言うんだ!?



鈴が知りたいというのなら別に話しても構わない。


だけど、俺のあずかり知らないところで雪乃の口から告げられるのは違うだろ。






「――――撮影の間にね、私、他の有名な俳優の男性と熱愛なんてマスコミに報道されて。寝耳に水の話で驚いちゃった。特別仲が良いこともなくて、たまたま役か何かの打合せで会話をしてる場面が雑誌に載せられていて。」




ヤメロ!と心の中で叫ぶ。



悲しげな色をした瞳を瞼に覆い、小さく息を継いだ儚い表情を見て、俺は怒りを通り越し吐き気さえ覚えた。




「誤解だって……言わなかったの。私、女優としての将来を取ったの。どんな内容でも注目を集めれば映画が話題になる……そうすれば私も有名になれるって。サイテイだって分かってた。だけど、彼は分かってくれるって…どこかで勝手に思い上がっていたのかもしれない。……結果的にギクシャクしたまま……」





手摺りを掴む手に力が篭り、悲壮の色が増した。




「彼と離れて、自分がしたことを思い知ったわ。どうしてあんなに残酷なことが出来たんだろうって。すごく好きだったのに……大事な人だったのに…。」




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