ツラの皮
俺との関係が公にならなかったのは、雪乃が公にするメリットがないと思ったからだ。
だとすると俺に見せた零れるような笑顔も、気恥ずかしそうに口にした睦言も全て彼女の演技であり台詞だったのだ。
ホントにか……………?
理性的にどれほど分析しようとも、心のどこかにはまだ迷いがあって、完全に振り切ることは出来ないでいた。
そう思わせるほど雪乃の演技は完璧だったから。
そうしてズルズル引き摺ったままの俺はタチバナの写真に目を覚まされた。
『な?天使よかずっと『らしい』だろ?』
………なんだ。
見る奴が見ればこう見えるんだな、と。
時を経て再会してみてソレがよく分かる。
再会したのは『訳合って手酷く振った元彼と再会する女』を見事に演じきった女優だ。
紅潮する頬から揺れる睫まで、彼女の全ては女優のものだ。