たとえ愛なんてなかったとしても
俊輔に私もそろそろ部屋に戻ると声をかけてから、ルームナンバーが書かれた紙をカバンにしまおうと......。



「ちょっ!おいおい、まてまてまて!
何、カスミちゃんにかこつけて、ちゃっかりヨンウンさんの部屋まで聞き出してるんだよ!

変なこと考えてるだろ」



先程の紙をカバンにしまおうとする手を俊輔に掴まれて、阻止される。


ヨンウンさんの部屋に行くつもりだろ、とか言われても、そんなこと全く考えてなかったのに。


それもいいかもと少し思ってしまったのは内緒だけど。



「変なことなんて考えてないけど?
私は本当に心配して聞いただけ。

ちょっと、離してってば!」


「いや、絶対に考えてる。
俺と同じようにヨンウンさんまで、キャシーのハニートラップにかけられてトラウマになったら......、もう俺はヒョンス兄さんに合わせる顔がない。

とにかくこれは俺が預かっとくから」



たしかにあの人は優しいけど、怒らせると怖そうだ。

それになぜか、 ヒョンス兄だけはさすがの私も手を出せない難攻不落なオーラが漂っている。


私の手からルームナンバーの紙を奪い取ろうとする俊輔に、抵抗しながらそんなことを考える。



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