たとえ愛なんてなかったとしても
「ハニートラップなんて仕掛けてない。
自分の実力不足を人のせいにしないでよ。

トラウマになったのなら、悪かったけど、まさかあんなに......」


「わー!わー!
それ以上言うと本気で立ち直れなくなるからやめて!」



まさかあんなに下手だったなんて、と言おうとしたら、事前に遮られる。

自分からこの話持ち出してきたんでしょうが。





こうして私たちはしばらくの間、ルームナンバーを巡った戦いを繰り広げたのだ。


明日も大会があるって言うのに、こんなところで争って。

冷静に考えると、二人ともどうしようもないばか。





「もう、返してよ!

人を誰彼構わずの節操なしみたいに言わないでもらえる?
一応相手は選んでるんだから」


「そうなの?
じゃ、じゃあさ! キャシーって、俺のこと少しはいいと思ってくれてたってこと?」



あの時のことがトラウマになったと言ったばかりなのに、期待するような目で私を見る俊輔。


いいと思ってた、と答えたらどうなるんだろう。


いくらなんでも嫌いな人とは寝ないけど......。
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