たとえ愛なんてなかったとしても
「本当のご両親と再会された時は、どんなお気持ちで?
やはり複雑な思いはありましたか?

今回、義理のご両親と、実のご両親が真っ向から対立する形になりましたが、エリックさんとしてはどちらを家族だとお考えですか?」



どんな気持ち、どんな気持ちって......、人の言いたくないことを根掘り葉掘りと。

デリカシーというものはないのか。

それが商売だから仕方ないにしても。



「生みの親には......、正直に言うと、最初は恨む気持ちもありましたが、僕を生んでくださった方なので、今は感謝しています。

義理の両親は、本当の子と同じように、僕を大切に育ててくださった方です。

どちらも大切な家族だということには変わりません。

ですから、対立することになってしまって......、本当に、悲しい気持ちでいっぱいです」



大切な家族だ、なんて自分で言ってて笑えてくるな。


思ってもいないようなことを言わなければならない俺の身にもなってほしい。


まあいい、これも仕事のうちだ。

事務所に指示された優等生回答を答えるだけの簡単な仕事。
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