たとえ愛なんてなかったとしても
同じ宿舎に住んでいるのに、初めて入るエリックさんの部屋。

作りは私の部屋と同じだけど、ほとんど物が置かれていないシンプルな部屋なので、こっちの方がだいぶ広く見える。


私が部屋を見渡している間にも、俊輔さんとエリックさんは話していたけれど、会話には入らず二人の話を聞くだけにしておく。



「今まで何度も話す機会を作ろうとしてくれたのに、無視して悪かったな。
それから、俊輔には特にキツく当たったりしてごめん」


「そんな、俺の方こそ......」


「こういう性格だから、これからも迷惑かけると思うけど、よろしく。
お前がいつもみんなに気を配ってくれること感謝してるし、頼りにしてる」


「......え?......はい。
こちらこそ、よろしくお願いします」



エリックさんから、感謝の言葉が出てくるなんて......。

感動する場面なのかもしれないけど、頭でも打ったのかと一瞬失礼なことを思ってしまった。


告白されたことも信じられないくらいだし、どんな心境の変化なのか分からない。

それでも、お願いしますと言い合う二人を見ると素直に嬉しい。


こんな日がくるなんて思わなかったから、もう嬉しいのを通り越して、夢かと思うくらいに現実味がないくらい。




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