Second Secret
慌てて出した佐伯くんの手の中に落ちたケータイと、サインされた紙。

佐伯くんはもはや、泣きそうなんて感情を通り越しているんだろう。


「俺...僕、先に会社に戻ってます」


消え入りそうな声を、俯きながら発した佐伯くん。

言われっぱなしでいいわけないけど、きっと彼はここで反論できる立場じゃないと思ってる。

でも、だからこそ反論できる立場の私が言わないといけないんだ。


私の心の中は、もう怒りしかなくて。

それに任せて何か言おうとしたんだけれど。


動いたのは、口じゃなくて手だった。


静かな部屋に響く痛々しい音。

少し驚いた表情を見せながら、叩かれた頬をおさえる先生。


手を出してしまった自分に自分自身で驚いたけど、それを先生に悟られたくなくて、誤魔化すように全然を睨みつけた。
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