蒼碧
私は、黙って、お兄様の腕の中にいた。



「だって、頭が悪すぎて、どの高校も受からなかったのよね?」



そう言って、するどい視線で私を睨みながら笑うお姉様。


俯いたまま、静かに頷いた。



「…とりあえず俺の部屋に行こう」


「お兄様、お母さまがお呼びよ?」


「……、安芸、後で部屋に行く。だから、頬を冷やして待ってて」



お兄様は、優しくお姉さまに叩かれた頬を撫でてから、私から離れて行かれた。
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