蒼碧
「どうした?安芸」


「いいえ、私ちょっと出かけてきたから匂いがついたのでお風呂に入ってきます」


「そっか、今日はどこかに食べに行こうか」


「いいのですか?」


「もちろん、久しぶりに帰ってきたんだ。安芸の大好きなお店に連れてってあげるよ」


「うれしい」



お兄様は、好き。


お兄様は、優しい。


離れに住んでいる私にも、優しくしてくださる。


離れに行こうとした私に



「安芸」


「はい」



お兄様は、安心して、と言うように



「雅はいないから、安心しておいで」


「はい」



お兄様は、やっぱり優しい。



雅―…私の、お姉さま。
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