俺の事どう思ってる?!
 舞奈に対する態度は日増しに酷い状態になっていった。



 しかし同じ参加禁止となった村田の周りには、放課後の学年展準備の様子を話す人が絶えなかった。



 舞奈はクラスから存在を消され、プロ失格のレッテルを押された。



 いじめとは違い、常に一緒にいる紫江と夢人には何時もと変わらない態度でクラスメートは接している。



 空間に舞奈の存在を無いものとしていた…。



「はいじゃぁ、今日はここまで」



 一斉に片付け学年展の作品作りを始める。2人は実習室を出て隣の準備室へ入っていった。



 そこで2人は毎日100枚のスタイル画を描くという課題を出されている。



 最初にテーマを担任から言われそれに合わせ100枚描く終わったら速やかに帰宅している。



 同じテーマで、100枚は無理にも程があるが舞奈は休まずペンを走らせすぐに終え提出する毎日であった。



「飛天さん終わりね。帰っていいわ」
『はい、失礼します』



 舞奈は夕方からのバイトに復帰した。



 何かやっていないとクラスでの状況が浮かび、足元から崩れていきそうだった。



 自分が蒔いた種と言っても、存在を消された空間に毎日通うのは辛い以外でなにものもなかった。



 2人以外が話してくれない事が、こんなにも悲しいとは思っていなかった。



 だから、より沢山の人に接する事が出来る時給は安いがコンビニのバイトを多く入れた。



『おはようございます』



 店側は舞奈が抜けた穴は大きく、復帰を凄く喜んでもらえた。ただ1番欲しい温もりには触れていなかった。



 連絡を絶った事で連絡しにくくなり、人づてに聞いた事だが仕事が忙しと聞き、より連絡を躊躇ってしまい何も話していない状態になった。



『いらっしゃいませ』



 ここまではいつも通りだった…。



 お客は商品を選びレジへ持って行き、店員は清算する。でも今回はそれだけで済まされる客ではなった。



『1270円です』



 飛び切りのスマイルでお客を見送る。そのお客は怪訝な顔で乗ってきた車に戻り、助手席を向き首を傾げた。



「今って学年展の準備期間中だよね?」
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