恋愛指導は秘密のくちづけで
万里くんは机の中に忘れ物があるかどうかチェックし、ないのがわかると机の向きをそろえ、椅子を丁寧に机にしまっていた。


わたしも近くにある机の整頓をはじめた。


「見回りのとき、教室の廊下側の窓から眺めてましたけど、柏葉さん、真剣な表情でした」


机に目線があったまま、万里くんは話した。


心の中がほんのちょっとだけ、キュンとなった。


「あたりまえでしょ。試験監督だし、ちゃんと教室見まわさないと」


「柏葉さんらしいや」


万里くんはこちらを向くとニコっとほほえんだ。


「万里くんのおかげで何とか模試も終わってほっとしたよ」


「お願いがあるんですけど、聞いてくれますか?」


「お願い?」


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