恋愛指導は秘密のくちづけで
整頓していた手が二人ともとまった。


「お願いって、もしかして……」


嫌な空気が足元をつたってくるような気がした。


「やだなあ。今、変なこと考えたでしょ。顔、赤くなってますよ」


「もう。何言ってんのよ」


ケラケラと万里くんは笑う。


「メアド、教えてもらいたんです」


「え?」


「お願い聞いてくれますよね」


万里くんの低く透き通るような声に否定なんかできなかった。


「……メアドぐらいならいいよ、別に」


「やった。じゃああとでメール送るんで教えてくださいよ」


わたしは首を縦にふった。万里くんは嬉しそうにまた机の整頓をはじめた。
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