恋愛指導は秘密のくちづけで
「俺でよければ力になるぞ。おまえの担任でもあるからな」


「じゃあ、今からわたしを連れ出して」


「それは……」


「ムリでしょう」


「ワガママ、言わない。週末、そうだな、金曜日の夜なら大丈夫だ。俺と会わないか」


この甘くけだるい言葉を上司からも聞いたことがある。


恋愛の思考回路が停止している状態だった。


わからなかったときは真に受けてしまって失敗してしまった。


わざとこの言葉に巻かれてみようか。


「……会いたい」


「わかった。じゃあ、土曜日の夜、連絡する」


「ありがとうございます」


電話を切る。静寂につつまれる。


本体が熱をもった携帯をベッドサイドに置くと、未読メールの着信音が鳴った。


万里くんからだった。
< 203 / 263 >

この作品をシェア

pagetop