恋愛指導は秘密のくちづけで
【こんばんは。調子悪そうだったんで心配しました。】


何を返しても嘘になるんだろうな、と思ってわたしはそのまま電話の電源を切った。


次の日も時間どおりに起きて、時間通りに会社についた。


とりたてて心配されるような雰囲気を出さなかったから、通常の業務、イレギュラーに入ってきた仕事にも対応していった。


夏期講習前に行なう模擬試験のパンフレットが本社から届き、段ボールから出していたとき、万里くんが出勤してきた。


「お疲れ様です」


万里くんは笑顔をたたえながら、細く長い指でタイムレコーダーのカードを差し入れる。
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