恋愛指導は秘密のくちづけで
「お疲れ様です」


「元気そうでよかったです。メールしたんですけど」


「ごめんね。ありがとうね」


万里くんは何も言わず奥にいって白衣に着替える。


わたしはパンフレットを広げ、各高校ずつの枚数に束ねていく。


万里くんは向かいに座り、他のバイトがくるまで日報を書いていた。


沈黙の時間は流れる。


仕事の効率があがるんだし、余計な噂が流れなくていい。


今は枚数を数えることが仕事。だから余計なことを考える必要はない。


佐伯さんから呼ばれ、席をたつとき、一瞬だけ万里くんの視線を感じた。


非常階段で感じた、あの視線と同じだった。
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