恋愛指導は秘密のくちづけで
言えばよかったのか、言わないでいたほうがいいのかもしれない。


あの冬の日からわたしの中で成長させてはいけない想いを閉じ込めてしまったのだから。


バス停に立ち、バッグから赤いふちのメガネを取り出し、かけた。


ぶるぶるとバッグの奥底が震えだす。


中から携帯を取り出して表示すると、塚越先生からだった。


【明日だな。楽しみにしてる。】


【わたしも楽しみにしています。】


あまりにもすんなりとキーボタンを押して送信してしまった自分に驚く。


これでいいんだ。これで充分なんだと心の中に言い聞かせながら、到着したバスに乗りこんだ。
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