聴かせて、天辺の青

海斗は少し言葉足らずだけど、言いたい事はわかった。



昨日の帰りとは私の家からの帰りのこと。海棠さんをおばちゃんの宿に送ってくれた時、おばちゃんが海斗に知らせてくれたんだ。



「帰ってくるの、かなり久しぶりだもんね」

「だけどさ……、どうして俺に直接連絡してこないんだろう。今までは英司からメールぐらいしてきたのに」

「忙しくて連絡できないんじゃない? そのうち海斗にも連絡してくるよ」



と言ったものの、ちょっと疑問だった。



英司がおばちゃんに電話してきたのは平日のお昼間。普通なら英司は仕事しているはずの時間だった。電話の内容は緊急の用事でもなく、ただ帰るという連絡だけ。
それだけなら夜でもよかったのに。



「俺のこと、避けてんのかな?」



海斗はつんと口を尖らせて、シフトレバーを握った。
信号が青色に変わる。



軽快でリズミカルな手と足の動きに目を奪われているうちに、緩やかに車が走り出す。



野太い音とともにシートに押し付けられた背中から、体の芯へと心地よい振動が伝わってくる。



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