聴かせて、天辺の青
離れていく唇に名残惜しさを感じながら彼の顔を見上げた。ずいぶん明るくなった空が少しずつ青を帯びていく。
「瑞香、沈丁花の花言葉知ってる?」
「知らない、何?」
「『永遠』だよ、瑞香、今度こそ誓うよ、俺はずっと瑞香の傍にいる」
すべて言い終えるまでに抱き寄せられて、彼の声は振動とともに体から伝わってきた。彼の肩越しに見える空と海の色が同じ青色を目指して色づいていく。
「私だって、もう離さない」
彼の体を力いっぱい抱き締めた。
息を吸い込んで見上げた空の天辺は、これからどんな青色に染まっていくのだろう。どこまでも彼と一緒に追いかけて行きたい。
目に映るままの青を奏でて、聴かせて。
-完-