聴かせて、天辺の青
私は昨日の早朝にあったコンビニ強盗のことを、おばちゃんに話した。
未遂だったけど、犯人は逃走中だと。
今日見せてもらった写真のことも。彼だと確信は持てなかったけど、完全に否定はできないということも。
おばちゃんは驚きながらも、何度も頷いて話を聞いてくれた。
「そんなことがあったの……でも彼が強盗犯なんて信じられない。匿う訳じゃないけど、私は違うと思う」
「そんなのわからないよ? ニュースで犯人の近所の人がインタビューされて、『感じのいい人なのに、真面目な人なのに』ってよく答えてるでしょ?」
何故か彼を庇うおばちゃんに苛立ちを感じて、自然と語気が強くなる。おばちゃんは戸惑いを隠せない表情で、首を傾げている。
「彼ね、瑞香ちゃんが出かけたあと、すぐに起きて下りてきたの。私の所に来て『ありがとうございました』って言って深く頭を下げてね、もういいよって言うのに頭を上げないのよ」
おばちゃんは小さく息を吐いて、唇を噛んだ。何度か細かく瞬きをして、ゆっくりと目を閉じる。
「おばちゃんが看病してあげたんだもん、お礼を言うのは当然のことだと思う。見ず知らずの人の看病なんて、おばちゃんじゃないとできないよ」
と言うと、おばちゃんは目を閉じたまま首を横に振った。