聴かせて、天辺の青
私って、捻くれてる。
かなり性格曲がってる?
いけないと知りつつも、考えは悪い方向ばかりに傾いていく。沈みかけたら、ひたすら沈んでいくしかない。
こんな自分が情けない。
和田さんが彼のことをどう思っているのかは知らない。今のところ接点はないから、べつに何とも思ってないのだろう。
和田さんにとって彼は、ただの隣の部屋の宿泊客でしかない。
コリコリといい音を立てながら柴漬けを食べてる和田さんが、私をちらりと見た。いつまでも返事をしないでいるのに、嫌な顔もしないで。
だんだん、申し訳なくなってくる。
何か答えなければと思うけど、彼に対する不満しか浮かばない。愚痴ったら聞いてくれるだろうけど、朝っぱらから愚痴るなんて大人気ないとわかってる。
「べつに、何にもないけど? そんなに私のこと、気になる?」
悩んだ結果、逆に聞き返していた。
にっと笑って、意地悪な顔をする私はやはり性格が悪いと思う。自分でも嫌な言い方だと、今さら後悔しても手遅れ。
それなのに和田さんは、
「おう、めっちゃ気になるわ、何か悩みでもあるんやったら、ワシに何でも言いや。いつでも親身になって聞いたるで」
と笑い出した。不快な表情など微塵も見せない。
ああ、胸が痛む。