ベストマリアージュ
「浮気はしてねぇってさっきも言ったろ?

こんなとこまで来て、俺の部屋見たって面白くもなんともねぇよ

それに……」


「それに?」


「一応、俺だって男で、お前は女だろ?」


さとしの言ってる意味がわからない。


だって付き合ってるなら、もしそういう関係になっても、別に問題ないのに。


さっきから、そうなったら困るかのような言い草だ。


「だから……なに?」


体が震えてくる。


さとしは私とそういう関係になるのが嫌なの?


私はさとしの彼女じゃないの?


「だから、やだろ?
お前だってそんなの」


何が……嫌なの?


私はさとしとそうなってもいいって覚悟で、ここまで来たのに……


「わかった……帰る」


さっきまで浮かれてた自分がバカみたいだ。


下着にまで気を使った意味がないじゃない。


私だけがさとしに触れたいって思ってるの?


さっきだってキスしようと思えば出来たのに、そうしなかったのは同情だから?


いろんな言いたいことを胸にしまって、私は勢いよく立ち上がった。


テーブルの缶コーヒーが少しだけ溢れたけど、そんなの知らない。


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