温め直したら、甘くなりました

少し伸びた無精髭が顎に当たって痛かった。
でも、それすら嬉しく感じられるのが恋の始まりだ。


「集は……なんの仕事をしているの?」



キスの合間に問いかけると、彼は渋い顔を作って私の頭を両手で掴んだ。



「……後で教える。今は仕事のことなんて考えたくない」


「ん、ぁ……」



柔らかな舌が侵入してきて、私の舌を捕まえにかかる。

逃げても逃げても追ってきて、観念して動くのを止めると深く絡ませられて。

鬼ごっこみたいなキスを繰り返され、私は頭の芯まで蕩けそうだった。


でも、しばらくするとそんな甘いひとときに水を指す人物が店の戸を叩いた。

集が来たときみたいに、何度も、荒々しく。



「もう……今日は予定外のお客さんが多いわ」



濡れた唇を前掛けで押さえて引き戸に手を伸ばすと、集がいきなり大声を出した。



「茜!だめだ!開けるな!」


「え……?」



集の方を振り替えると同時に、外から扉がガラッと開いた。



「見つけましたよ!先生!!」

< 10 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop