温め直したら、甘くなりました
“優しさの欠片もない”
その時は、ただの皮肉だろうと思って聞き流していた言葉だけれど、今ではそれを否定できない。
……と、言うより。集の人格がどんなものなのか今ではもう掴めなくなってきている。
私は、集の「俺のどこが好きで結婚してくれたのか」という質問に答えるれないまま、再び過去に思いを馳せた。
――――初めて会った日から二、三日して集は再び店にやって来た。
でも、私は常連のサラリーマンとの会話を楽しんでいたからその存在に気づいてはいたものの、特に相手をしなかった。
お店を閉めたらゆっくり話そう……そう、思って。
でも、ようやく集と話せる時が来て彼の隣に腰かけると、あからさまに不機嫌さを滲ませた表情で彼はこう言った。
「――俺と客とどっちが大事なの?」
もちろん、営業時間内はお客さん……と、言ったら怒るんだろうなと思って、私は素直に集に謝った。
「ごめんなさい、あのお客さんはいつも贔屓にしてくれるからないがしろにすることができなくて。
集が来たのは解ってたしすぐにでも抱きつきたかったけれど、お客さんが居たらそうも行かないでしょう?」