Night sky**
 **伊吹の守護霊 (21/23)


***


「…伊吹
   会いにきたよ。」


高校を後にして、
あたしはお墓を訪れた。

カラっと晴れた空と
涼しい風があたしの心を
きゅっと締め付ける。


「あたしを、
  気遣ってくれたために
  死なせてしまって
  ごめんなさい。

  高校、合格出来たの
  伊吹のおかげ。
  本当にありがとう。」


小さな花束をゆっくり
お墓の前に置いた。

こんなことをするのは
もう現実を受け入れて
前を向き始めてる証なのかもしれない。

と、ひとりで少し
さみしくなった。


「伊吹、大好き。
  あなたはあたしの中で
  一生大事な人です。

  …ここ三週間、
泣いてばかりだったし
家族が心配してるから

前を向くように努力する。」


お墓を見つめて
微笑んで立ち上がった。


本当に、ありがとう
それしか言えないけど。



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