True Love
いらっしゃいませの声が店内に響いた。

ふと視線を向けると、私の心臓はバクバクと暴れだす。


佐野くんだ…。

知らない他校の女の子と一緒だ。

こちらを見向きもせずに、私達のテーブルの前を通り過ぎると、一直線に窓際の一番奥の席へと向かって行った。

いつもの佐野くんの席。

佐野くんがよくここに通っていることは知っていた。
いつもあの席に座っていることも。
今まで何度も見かけてきたから。

佐野くんは他校の女の子にもモテる。
…一体何人の女の子と知り合いなんだろう。


「…新学期早々、女遊びかよ」

笹本くんが嫌そうな声で言う。
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