【続】隣の家の四兄弟


「ごちそうさまでした!」


チハルが元気よくそう言うと、なにも言わずとも食器をキッチンへと運んでいく。
それに続くように、私も食器を手にして向かっていくと……。


「ミカ。ぼく片付けるよ」
「えっ!いや、でも、チハルが手だとしてもケガしたら大変なんじゃない……?」


すっかり一緒にいるときは忘れてるけど、チハルって芸能活動するような人なんだよね。
だったら大事な体だよね。

そう思って気遣った私に、「ふ」と楽しそうに目を細めて笑う。
そして、目をきらきらさせてこんなことを言いだした。


「その代わり、今日ぼくと一緒に過ごしてくれる?徹夜明けだから、余程のことがなければ呼ばれたりしないから」
「えぇっ?」


その代わり、って、それ、どういうこと?
それが目的で洗い物を率先してやろうとしたってこと?それとも、ただ私に気を遣わせないように思いつきで言ったのかな。


「うん、きっとそう!」
「なにがー?」


くすくすと小首を傾げて私を見下ろす。
そして、綺麗な手を伸ばして私の手にある食器を受け取った。

意外に慣れた手つきでスポンジを泡立てて、チハルは洗い物を始めた。
それを黙って横で見ていると、動かしていた手が突然止まる。


「……それとも、なにか用事あった?」

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