【続】隣の家の四兄弟
……寝てる。このオトコは本当に人の気も知らないで……。
腕を組み、少し首を傾げるようにした体勢で目を閉じている。
僅かに聞こえる寝息がすごく心地よさそうな音で、今感じた怒りを鎮めさせられた。
「浩兄、みんなもうメシ食ったの?」
「ああ、いやまだだ。チハルはお昼持ってきたのか?」
「Oh-コレね!ぼくとミカの分しかないよ」
「ああ、いや。いいんだ。じゃあ、おれたちの分を用意すればいいんだな」
「じゃ、オレ速攻シャワー行ってくるわ!」
わいわいと周りが会話をしている間も、私は聖二から目を離せずにいた。
聖二の寝顔を見てると、何を私はそんなにカッカしてるんだろうと思う。
……だって、元々こーいうヤツじゃない。
つい最近始まったことじゃなくて、知り合ったときから言葉が足りなくて、不器用な。
必要なことはなかなか言わないけど、肝心な時には助けてくれたりする。
そういう男だから、その分私がバカ素直でいなきゃだめなんじゃん。
それを私は、一般的な彼氏彼女の例に勝手に当てはめて、その通りにならなくて一人悶々として。
「……バカ」
それは聖二に、じゃなくて、自分に。
「驚いた」
「!!」
完全に油断してたら、いつの間にか私の傍にアキラが立っていた。
言葉を掛けられると、悪いことをしてたわけじゃなくてもつい驚いてしまう。
目を大きくしてアキラを見る。
「驚いた」と言ったはずのアキラの方が、そんな表情してなくて。どっちかと言えば私のほうがよっぽど驚いた顔をしてると思う。
ドキドキと跳ねる心臓を片手で抑えながら、アキラが言葉を続けるのを待つ。