【続】隣の家の四兄弟


……やば。本当に寝ちゃってた。

ベッドにダイブして、そのまま突っ伏したら寝てしまってた。
ゴロンと体を動かし、時計を見ると午後3時……。

ポケットに入れたまんまの携帯を恐る恐る見る。


――やっぱり、ない、か。


そりゃそうだよね。
自分が連絡しづらいって思ってるこの状況は、少なからずアイツだってそう感じてるはずだもん。

きゅ、っと携帯を握って電話帳を眺める。
【聖二】と表示されてるのをしばらく見つめて、結局それ以上なにも操作することはできなくて画面を閉じた。

なんとなく、こっそりと部屋を出る。
きょろきょろとしてみたが、チハルの姿は見えない。

もしかしたらどこか出掛けてるかもしれないし、寝てるのかもしれない。
でも、なんとなくチハルに今は会いづらくて、内心ほっと息を吐いた。

西日になりかかってる陽射しを、目を細めて見る。
何気なく、足を向けたのはベランダ。

カララ、と静かにドアを開け、サンダルに足を突っ込むと、柵に両腕を乗せて空を見る。


ああ。空はこんなに穏やかなのに……。

気持ちのいい太陽の光を受けて溜め息を小さく吐く。
すると、私の鼻が敏感になにかを感知する。

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