【続】隣の家の四兄弟


授業が終わって、SHRも済むと、みんな颯爽と下校していく。
私は比較的のんびりと帰り支度をして席を立つ。
それがまた偶然にも三那斗と同じタイミングで、私たちは椅子から立ったのと同時に目を合わせる。


「三那斗はまっすぐ帰るの?」
「ん。いっぺん帰ってから着替えて体動かしに行くわ」
「ふーん。そっか」
「なに。美佳は帰んねぇの?」


玄関まで自然と二人で歩きながら会話をする。
三那斗の質問に、一瞬戸惑ったけど、別にやましいことでもないはず、と気持ちを落ち着かせて答えた。


「うん。ちょっと寄り道」
「へぇ。どこ行くの」
「ちょっと……お母さんとチハルの職場に見学」
「チハルゥ?!」


あ、やっぱり……?

〝チハル〟って言おうかどうしようか迷ったけど、隠すと余計に怪しいしと思って正直に言ったんだけど。


顔をしかめる三那斗を窘めるように、私は明るく振る舞って続ける。


「別に二人でどこか行くとかじゃないし!お母さんの職場でもあるし!私、まだ一回も見たことないの。お母さんの仕事姿」
「え?そうなのか?」
「うん。初めて」
「ふーん……」

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