【続】隣の家の四兄弟

事前にスタッフの人には伝えてくれてるらしい。
玄関に立つガードマンに事情を説明すると、なにやらすぐに連絡をとりつけてくれたようでお母さんが迎えに来てくれた。


「美佳。本当に来たのね!」
「そりゃ……約束しちゃったし」


……チハルと。
だって。だって、この約束はそういう意味じゃないと思うし。気分転換に、って。
あの、イタリアに行こうって言ったようなことじゃ――……。


「じゃ、行こっか。あ、コレ、首から提げといてね。こっちよ」


ぽんぽんと言われて有無を言わさずに首からネームホルダーのようなものをかけられる。
そして、足早に先をいくお母さんを小走りで追う。

家でのお母さんはのんびりとしているから、こんなふうにてきぱきと行動するところは初めて見る。

エレベーターに乗って降り、廊下へと歩き進めると、遠くからストロボが光るのを感じた。
ジッとその部屋に視点を合わせて歩いてたら、お母さんと目が合う。
ニコッと笑って小さく頷くお母さんを見て、やっぱりあそこの部屋にチハルがいるのだと確信した。


「もうあと少しで終わっちゃうとこだったから、間に合ってよかったわね」


ぼそっと耳打ちで言われながら、部屋の隅でチハルを見つめていた。

眩しいくらいの照明に照らされて、小さなスペースに立つチハルはいつものチハルの顔じゃない。
あの、雑誌に載ってる〝モデルのチハル〟だ。


ピピッカシャ!と繰り返されるシャッターの音。
素人の私には信じられないくらい早いテンポで、それを長く切り続けてるんだけど、チハルは全く戸惑うこともなく、ひとつひとつに動きを加えたりしていろんな表情を見せていく。

呆然と見ていたら、「OKでーす」とどこからか声がして、辺りを取り巻いていた緊張感が一気に和らいだ。


「ミカ!」

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